TO
生命の根源的な形成力と、人体を巡る血液の循環構造からインスパイア。有機的フォルムの什器デザイン。
スキンケアからライフスタイルブランドとして展開する「TO」東京ショールーム用の什器をデザイン、制作。
「TO」ブランドシンボルのモティーフである「太陽」「月」「心臓の鼓動」といったエレメントからインスパイア。太陽や月、星々などを包括する大宇宙と、人間という小宇宙との関連性を造形した。そして、ブランドの世界観やアイデンティティが体験される空間を目指した。
具体的に、人体を巡る血液の循環構造に着目。左心室より流れる血液は肉体から脳に、他方で全身を巡り静脈として右心房へ。そして右心室から肺を巡り、左心房へ戻る循環等がある。これらの循環構造をメタモルフォーゼさせ、二つの造形的循環に分割。更に重さを持ち、床に配置され、商品を展示するための什器という現実的な形状へと仕立てた。
精神科学的文献では、これら肉体における血液の循環構造は、心臓=太陽、脳=月、肺=地球に対応すると言う。実際、大宇宙では太陽から月へ、また太陽から地球を巡り戻るエネルギーの循環があり、それらは肉体と同じ循環構造で運航されていると言う。これを持ち、「太陽」「月」「心臓の鼓動」といった、大宇宙と小宇宙とのコレスポンダンスを表現し、「大宇宙との繋がりに想いを馳せ、人間を内面から美しくする」と言うブランド哲学を、空間に造形した。
ブロック状の発泡スチロールを手作業で削り出し、有機的なフォルムへと造形した。更にFRPを集積して強度を得た。店舗から展示会場等、盛んに別の場所へ運搬を行う要件を考慮し、発泡スチロールからFRPでの造形を行った。これにより大人二人で容易に持ち運びが可能な什器の重量を実現した。
生き物の様に見えるこの有機的フォルムは、生命の根源的な形成力に沿っている。直線と直角が交わるだけの外面的な材料力学的構造とは違い、ここでは全てのヴォリュームが他のヴォリュームと呼応しつつ、生命的な関連性を得ている。この内的に有機的な秩序は、観る者に生命の神秘を予感させ、未来の社会秩序について光を与える。
二つの什器のうち、一方は無垢の仕上げにした。何千、何万という手仕事の集積が研磨後に模様として浮かび、唯一無二の存在感を醸す。もう一方は天然素材である滑石を練り込んだシェードホワイトの仕上げにした。
1/9サイズの模型を削り出してから、全体の形状に対しての要件を得た。実際に制作する際には、発泡スチロールから大まかな形状を電熱線カッターで削り出した後は、全て感覚による手作業での造形に没頭した。それは与えられた線を引くことに専念するのではなく、内的な有機的秩序と言える生命的な原則と結び付き、それを体感として得ながら造形することに、本質的な価値が求められたからである。
月面を思わせる青みがかったホワイトは、天然素材である滑石を練り込んだ自然な仕上げが美しい。








